日本防犯住宅協会 「設立趣旨」


日本で発生している侵入窃盗は、警察が認知しているだけで年間20万5千件(平成18年)。
平成9年と平成18年を比較すると住居侵入は3万1千件(平成18年)で、2.5倍に増加している。
侵入強盗は1900件(平成18年)で1.9倍になり、そのなかで人を傷つけたり、死亡させたりする身体犯は
476件(平成18年)で1.4倍に増加している。
これらの数値は、警察が認知しているものであるが、認知していない被害を含めると倍近くあると思われる。


 そんな中、平成18年6月より住宅性能表示制度にも防犯性能が加わるが、住宅会社の認知度は低く、
それ以前より提供されている「防犯性能の高い建物部品(防犯建物部品)」の普及も、まだ数パーセントにも
満たない採用率に留まっている。

 このような現状の中、一般生活者の「防犯」「安全」に対するニーズは高いにもかかわらず、住宅を提供する
住宅会社、防犯設備会社や、警備会社は商材の提供はしても、予防的な観点による家全体、
あるいは地域分析を含めたトータルの防犯対策が提供できていない。

 さらに踏み込んで、住宅に生活する人の防犯意識、行動分析にまで及んだ防犯診断も対策も皆無に近い。
侵入盗は、「周囲の環境」「住宅」「住人の生活習慣」の弱いポイントを見つけ、犯行に及ぶ。
犯行が物だけにと留まらず、殺人・傷人・強姦など身体への攻撃に及ぶ被害が増加している。
被害を受けた人は、不眠症などに悩まされ、安心して生活できなくなる。
当協会では、建築学、住居学、防犯環境学、犯罪心理学の専門家が持つ知見の融合・共同研究により地域環境、
人間、建築がどのようにあれば、犯罪を抑止し、安全な住空間、職場空間ができ、安心して生活、および活動が
できるかを研究する。
 これらの研究成果を普及・啓蒙することをとおして安全な街づくりを広げ、日本に住まう人たちすべてが安心して
暮らせる国にしていきたい。

                                       平成20年5月6日
     柴山明輝(日本防犯住宅協会 会長)

日本防犯住宅協会 に対する想い】
会長 柴山明輝
何故私が協会を設立しようと思ったか

第1は、私の事務所が3度泥棒の侵入被害に遭っているからです。
泥棒被害にあっている方は多くても、3度被害に遭っている例は非常に少ないです。
被害は金品などの物だけでなく、精神的なものにまで及びます。何人もの被害対策をしてきて、精神的なケアや、
周りの人の理解不足までを解決してあげなければ、穏やかな生活に戻れないことを知っています。

第2は、元々サッシの販売会社を経営しており、被害に遭うのは自分達が扱っているドアや窓を破られて侵入されるのです。
自分達の知識の中での防犯対策はしていましたが、それでも3度も入られ時のショックは言いようがありません。
泥棒たちに好き放題にやられている状態と、自分達の無力さにむしょうに腹が立ちました。

しかし、通常では破られたものと同程度の窓やドアを販売し、家がつくられています。
建築会社や消費者が十分な防犯情報も持っていないために、防犯性の検討すらしないという現実もあります。
今現在、防犯性の高い建物は1%程度。このままでは泥棒のやりたい放題が続きます。

第3は、私のような住宅防犯の専門家がいない。
私は、警察官の家や、警備会社社長の家の防犯対策の依頼受け、実施していますが、逆に言えば、
防犯のプロと思われている人達の防犯対策が不十分だと言えます。
単に建物の防犯はしているが、住む人、建物の周りの地域環境を含めたトータル防犯の考え方がない。

私は生まれたときから、父の仕事である「住まい」の仕事を見てきました。
仕事の内容は変わっても、「人」と「住まい」を良くすることが私の生きがいであり、この仕事に人生を掛けています。
日本防犯住宅協会 に対する想い】
理事 安藤友治
 世間を騒がせる犯罪が年々凶悪化していく中、住宅やマンションへの空き巣・強盗等の被害は増加の一途をたどり、
その手口も増々巧妙化・凶悪化してきています。

それにもかかわらず、住み手であるお客さまも、施工者である建築会社にも正しい知識が無く防犯対策に対して、
非常に安易に考えている場合がほとんどです。

 さらに、それに追い討ちをかけるのは、お客様と建築会社との間の防犯に対する温度差です。
このことが住宅の防犯対策を大きく遅らせているように思います。

 偉そうに言っている私も、実はそのうちのの一人で、実際に私共のお客様宅に泥棒が入る事がなく、
さらに、柴山さんから現在の侵入盗(泥棒)の手口や行動パターン、侵入経路など聞く機会が無ければ、
今もこんなもので良いだろうと考えていたに違いありません。

泥棒の目から見たら、今、一般的に建てられている住宅(マンションも含め)のほとんどは、赤子の手を捻るがごとく。
まさに、やりたい放題 し放題状態です。
正しい知識と手段を持って対策を施さなくては、残念ながら効果は無いも同然。
しかも日々進化する、その手口とのイタチごっごで定期的なメンテナンスさえ必要となります。
なんだかいやな時代になったとお思いでしょうが、これが現状です。

 私共は幸いにも、こうした現状に早く気付いたので、早めの対応はできましたが、ほとんどの建築会社は
防犯設備を強化すれば、経費こそかかるが利益を生むような工事ではないと思っているために、ほぼ無関心で、
知らないが故にありきたりな対策に終始しています。

 また、私共が真剣に取り組むきっかけになったもう一つの理由は、心的な被害が思った以上に大きい事に気付いたからです。
物的な被害よりもむしろ深刻で、せっかくの幸福あふれる新築住宅が一夜にして、恐怖で眠れない、家にいると怖い、
物音がすると落ち着かないなど、心のケアには本当に時間がかかりますし、お金では解決できません。
生活弱者であるお子様や奥様の気持ちを想像すると、とても辛いものがあります。

 以上のことから、防犯対策の正しい知識と現状把握、そして対策と定期的な情報とメンテナンスの必要性を
エンドユーザーであるお客様にも、建築会社にも広めていくことが急務であると考えます。
防犯住宅協会のもっているノウハウを多くの人たちや、地域に広めていくことで、少しでも犯罪の無い社会にしてきたいと、
切に願って止みません